12月1日の集まりの趣旨

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コリスコ・グループは、「医療と教育の共同作業」という専門領域のグループとして設立されましたが、すべてのアントロポゾフィー活動の器となる「アントロポゾフィー協会」についての取り組みを自分たちの重要な課題と位置づけてきました。

1919年に設立された最初のシュタイナー学校が、第一次世界大戦後の混乱の中でシュタイナーが展開した「社会三分節化運動」の重要な柱であったように、教育は社会問題と不可分です。そして、シュタイナーが最晩年に設立したアントロポゾフィー協会は、アントロポゾフィーを信奉する人々の組織ではなく、一度は挫折した社会三分節化運動を新たな形で試みたものだといえます。だとすれば、シュタイナー教育に取り組むことと、アントロポゾフィー協会に目を向けることはつながっています。

シュタイナーは、教育を「静かな治療行為」とみなしました。そこには、本来、医療と教育は一つの共通の源泉から発しているという考えがあります。その共通の源泉をシュタイナーは「秘儀」とも呼んでいます。シュタイナーは、現代の秘儀に至る道を、「精神科学(霊学)自由大学」の19回の講義(クラッセンシュトゥンデ)の中に表しました。

そこで、コリスコ・グループでは、「医療と教育の共同作業」を真剣に考えるためには、アントロポゾフィーの秘儀に対しても真剣に向き合う必要があると考えました。

クラッセンシュトゥンデの内容は、人から人へ、口から耳へと伝えられることを基本とし、自由大学に入ろうとするときは「世界の前にアントロポゾフィーを代表する決意」ができてからにしてほしい、とシュタイナーは求めました。他方で、アントロポゾフィー協会に入会するにあたっては、一切の条件は求められませんでした。

そこで、コリスコ・グループでは、「世界(社会)に開かれていること」と「秘儀に向き合うこと」が、「教育と医療の共同作業」という課題の核心にあると捉え、そこから自分たちの活動を生み出していきたいと考えています。それがコリスコ・グループにおいても、アントロポゾフィー協会の支部として、協会への入会と自由大学への入会を仲介する機能を持つべきだと考えた根拠になっています。

現在の日本の教育現場では、いじめや虐待といった現象の背後に、子どもたちを取り巻くメディアや社会における価値観、子育ての困難さや広がりゆく経済格差、原発をはじめとする環境汚染など、様々な社会的な問題が存在していることが明らかになりつつあります。

アントロポゾフィーを一つの偏った世界観として見るのではなく、あらゆる個人の中に働く「人間の知恵」として捉えることから、私たちのこれからの歩みを生み出していきたいと思います。その最初の歩みとして、話し合いとオイリュトミーによるアントロポゾフィーへのアプローチ、そしてクラッセンシュトゥンデそのものとの取り組みを始めることにした次第です。

入間カイ

お互いの多様な個性を持ち寄り、交流を重ねながら、日本の現実の中で、人々と社会の苦悩と混乱に耳を傾けつつ、地に足の着いた動きを探っていきたいと思います。12月1日は、その最初の導入の時間となるでしょう。コリスコ・グループのこれからに、そして日本におけるアントロポゾフィー協会の未来に関心を寄せる方々に、お気軽にお集まりいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。

堀雅明